ビジネスの世界において、成功を収めるためには私たちが持つ本能を理解し、それを活かすことが欠かせません。
本書『進化論マーケティング要約: 人に刺さる8つの本能』は、ダーウィンの進化論の観点から人々の本能に焦点を当て、その本能をビジネス展開にどのように応用していくかを考える一編です。著者は、パレオな男で有名な鈴木祐さん。彼の知見を通じて、我々のビジネス戦略に新たな視点を加えてみませんか。
この本は、ビジネスの成長を望むすべての人にとって、貴重な1冊となることでしょう。本書が提供する2つの大きなメリットは、以下の通りです。
まず第一に、より深い仮説を導き出す力が養われます。進化論の枠組みから人々の行動原理を読み解くことで、より的確な仮説を生み出し、ビジネスの戦略立案に役立てることができるでしょう。
また、第二に、刺激的な宣伝戦略を考案しやすくなる点も挙げられます。我々が持つ本能を刺激する要素を理解することで、効果的な広告や宣伝を展開するアイディアが浮かび上がります。
本記事では、基礎部分として人間が持つ8つ本能について深く解説します。私たちの行動や選択に影響を及ぼすこれらの本能。その理解を深めることで、競争の激しいビジネスの舞台で、より効果的かつ洗練された戦略を展開する手助けとなるはずです。
私たちの根本にある本能が、成功するビジネス展開においてどのような役割を果たすかが明らかにされています。鈴木祐さんの洞察に学びながら、我々自身のビジネス戦略に新たな息吹を吹き込みましょう。
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人間の最深部にある2つの究極の本能
人間の行動や選択の背後には、生存と生殖という2つの根本的な本能が存在しています。これらの本能は、私たちの本質を形成し、人間の行動を指し示す原動力となっています。
1. 生殖の本能: 遺伝子の継承への欲望
生殖の本能は、自身の遺伝子を次世代に受け継がせるという欲望に基づいています。進化の過程で、生命は遺伝子を次の世代に継承することを重視してきました。
このため、人間は生殖の本能によって、パートナーシップや子育ての願望を抱くようになりました。これが愛情や絆の基盤となり、社会的なつながりを築く一因とも言えるでしょう。
2. 生存の本能: 自己保存と安全への欲望
生存の本能は、個体として自己を維持し、安全を確保する欲望に起因しています。生命は進化の過程で、危険や脅威から身を守る能力を養うことが重要でした。そのため、私たちは生存の本能によって、食物の確保や身体の健康維持などを求めるようになりました。これが私たちの行動における合理的な判断や行動力の源となっています。
生殖と生存という2つの究極的な本能は、人類にとって根源的な欲求です。これらの欲求が私たちの行動に影響を与え、社会的な関係やビジネスの展開においても重要な役割を果たしています。この2つの本能が合流し、さまざまな形で表出することで、我々の行動が多様で複雑なものとなっているのです。
この2つの本能が基盤となり、さらに派生して8つの本能が形成されています。次章では、これらの基本構成となる8つの本能について詳しく解説していきます。
進化論の観点から導きだれた人類の8つの本能
究極の本能である生存と生殖は、進化の過程で8つに派生して、生存や繁栄に寄与してきました。以下に、人が持つ8つの本能について詳しく見ていきましょう。
安らぐ本能
安らぐ本能は、心身の危険から逃れ、不安や恐怖を避ける欲求です。私たちは自然と安全な場所や状況を求め、心地よい状態を維持しようとします。この本能は、過去の経験や周囲の状況に基づいて形成され、極端な状況を避ける傾向を持つため、生存戦略の一環と言えるでしょう。
安らぐ本能は私たちに「極端なものはリスクが高い」「馴染み深いものが安全だろう」という意識をもたらします。これは、過去の経験から学んだことや、身の回りの状況に基づいて判断し、自己保護のための戦略を形成する一環です。
たとえば、新しい環境や未知の状況に直面した際、私たちは慎重になり、その状況が自身や周囲の安全に影響を及ぼす可能性があるかどうかを考えることがあります。逆に、馴染みのある場所や物事に対しては、それが過去安全だった経験から、比較的リスクが低いと判断しやすくなります。
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進める本能
進める本能は、私たちが明確なゴールを設定し、それを達成するために努力する欲求です。この本能は、成長や進化を実感するために、新しいことに挑戦し、困難な障壁を乗り越えようとする傾向があります。
さらに、進める本能は前進する感覚を与えるために成長志向を刺激し、報酬感覚を介して消費行動を促す役割も果たしています。私たちは成果を得ることで達成感や満足感を感じ、それによって脳内報酬系が活性化されます。この報酬感覚が、新しいスキルの習得や目標の達成といった成長に対するポジティブな体験と結びつくことで、進める本能が強化されるのです。
例えば、スポーツや趣味に没頭することで、新しい技術や技能を磨き、それによって成果を得ることができます。この過程で得た達成感や向上心は、個人の成長志向を満たし、進める本能を刺激します。同様に、新製品やサービスを提供する際に、その利点や特長を強調することで、消費者の進める本能を刺激し、購買意欲を高める効果があります。
進める本能は、私たちの努力や成長に対する欲求を活性化させ、前進する感覚を求める一方で、その達成による報酬感覚を通じて消費行動を誘発する重要な要素です。
決する本能
決する本能は、私たちが自分の行動や目標を決め、それを実行する欲求です。仕事とプライベートの分野で自分の意志でコントロールし、自分の思いを形にしたいという欲望は、私たちの生存に繋がるためにこの「決する本能」が形成された一因です。
この本能は、私たちが自分自身の状況や環境をコントロールし、自己実現を追求する能力を持っていることに関連しています。人間は選択肢を持ち、自分の行動や意思決定によって未来を変えることができる存在です。この能力は、過去の経験から学び、将来への戦略を練るために重要な要素となりました。
さらに、この決する本能は、商品やサービスの消費行動にも影響を与えます。私たちは、自分の好みやニーズに合わせて商品をカスタマイズしたり、自分で選んで購入することで、自己決定の感覚を満たし、自己表現を行います。
例えば、スマートフォンのカスタマイズやオンラインショッピングの選択肢の豊富さは、この決する本能を刺激して消費者を引き寄せる要因となっています。
このように、決する本能は私たちが自己決定を行い、自分の意志を発揮することに関連しており、商品やサービスの選択やカスタマイズといった消費行動を促進します。
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有する本能
有する本能は、私たちが生存に役立つ物や情報を集める欲求です。この本能は、食料や避難所といった基本的なニーズを満たすために役立ち、より安定した生活を築くことが可能となります。
この本能は、人類が飢餓を防ぐために発達したと言われています。昔の人々は、資源を集め、貯蔵しておくことで、食糧不足や厳しい環境条件に対抗し、生存を確保することができました。このような遺伝的な本能が、現代の私たちの消費行動にも影響を与えています。
また、私たちは良いものを失わずに手元に置いておきたいという気持ちも持っています。これは、有する本能に起因するものであり、物を所有することで安心感や満足感を感じる傾向があります。この欲求は、所有欲やコレクションの形成につながります。
さらに、無料サンプルや地域限定コレクションなどのアプローチは、この有する本能を刺激して消費活動を促す方法です。無料サンプルは、商品の一部を提供することで、顧客がその価値を評価し、所有したいという欲求を刺激します。地域限定コレクションは、一部の特定商品を手に入れることへの欲求を喚起し、その商品を手に入れることで満足感を得るメカニズムとなります。
このように、有する本能は私たちが基本的なニーズを満たすために物を集め、所有する欲求を活性化させる一方で、商品やサービスの提供方法やマーケティング戦略にも影響を与えています。
属する本能
属する本能は、私たちが特定のグループやコミュニティに属することを求める欲求です。社会的な生物として、人間は他者とのつながりを求め、共感や支援を通じて自己同一性を形成します。
この本能は、人間が集団に属することで生き延びてきたために獲得したものと言われています。昔の人々は、共同体や部族に所属することで、食料や保護、協力を得ることができ、生存に有利な状況を築くことができました。そのため、属する本能は進化の過程で形成され、私たちの行動に影響を与えています。
一つの消費行動を促す具体例としては、オンラインサロンがあります。オンラインサロンは、特定のテーマや趣味を共有するコミュニティであり、その中に属することで共感や情報交換が可能となります。参加者は同じ関心を持つ仲間とのつながりを求め、コミュニティに所属することで自己同一性を強化しようとする傾向があります。
このようなコミュニティに属する欲求は、属する本能が刺激される結果となり、消費者がオンラインサロンへの参加や会費支払いなどの行動を選ぶ要因となります。属する本能は、私たちの社会的なつながりやアイデンティティ形成に深く関わっており、消費行動にも影響を与えています。
高める本能
高める本能は、特定の集団の中で地位を高めることを望む欲求です。競争や協力を通じて、地位や権力を手に入れることで、より多くの資源や機会にアクセスできる可能性が高まります。
この本能は、人間の社会的な階層構造や競争の中で形成されてきました。集団内で自身の地位を高めることは、他者からの尊敬や評価を受けることに繋がり、それによって生存や成功への道が開かれます。高める本能は、個人が自分の地位を向上させることを望む欲求として現れます。
この高める本能は、消費行動にも大きな影響を与えます。例えば、ブランド品は高級感や上位の社会的地位を象徴することがあり、これに対する欲求が高める本能を刺激し、消費者の購買意欲を高める一因となります。高級ブランドのアイテムを所有することで、自身の地位を示し、他者からの評価を得ることができるという心理が働いています。
伝える本能
伝える本能は、私たちが周囲の人々に自分の特性やアピールを伝えたいという欲求です。コミュニケーションを通じて他者との関係を築き、理解や協力を得ることができます。
この本能は、遺伝子を残していくためには集団に対して自分の魅力を伝える必要があるという進化的な観点から発達したと言われています。過去の人々は、自分の強みや価値をアピールすることで、他者とのつながりを深め、生殖の成功に繋げてきました。
伝える本能は、特に自己アピールできる環境に反応して起動します。現代社会では、ソーシャルメディアやオンラインプラットフォームがその役割を果たしています。こうしたプラットフォームを通じて、個人は自分自身を表現し、他者とのコミュニケーションを通じて自分の特性やアピールを発信することができます。
特にSNSは、伝える本能を具体的に刺激する一例です。個人は自分の日常や考えを投稿し、写真や動画を共有することで、他者とのつながりを維持し、自己アピールを行います。このようなコミュニケーションを通じて、伝える本能が活性化され、社会的な関係を築きながら自己表現を追求する要因となります。
物語る本能
人間は自分の人生に意味を見出すことを求める傾向があります。物語る本能は、自分の経験や成長を物語として捉え、人生に深い意味を持たせようとする欲求です。
物語る本能が人類に与える影響は非常に大きいです。人類が持つ大きな力である虚構を共有できる力は、他者や集団を生存させるための有力なツールとなりました。歴史や文化、宗教など、さまざまな物語が社会を形成し、共通の価値観や意味を築く手助けをしてきました。物語は私たちの行動や判断、共感を形成する一方で、共有される虚構の中でのつながりは、人類が集団として存続していくための基盤となっています。
また、物語る本能は企業やブランドにとっても重要な要素です。企業が独自のコンセプトやストーリーを持つことで、商品やサービスを魅力的に見せることができます。消費者は商品を単なる機能や特徴だけでなく、その背後にあるストーリーや哲学に共感し、購買意欲を高めることがあります。企業が自身のブランドを物語的に構築することで、顧客との深いつながりを築き、ロイヤルティを促進することができます。
例えば、フェアトレード製品や農家の顔が見えるスーパーマーケットのポップ広告は、物語る本能に訴求する良い例です。フェアトレード製品は、生産者のストーリーや公正な取引の背後にある価値観を強調し、購買者に商品の選択に深い意味を持たせます。同様に、農家の顔が見えるスーパーマーケットのポップ広告は、消費者に食品の生産過程や背後にいる人々の物語を伝えることで、商品選びに共感や関心をもたらします。
物語る本能は、私たちが自分の人生や周囲の世界に意味を見出すための強力な欲求であり、社会的な結束や企業の魅力構築にも深く関わっています。
まとめ
本書では、進化論の観点から導き出された人類の8つの本能について解説しました。生存と生殖という究極の本能が派生して形成されるこれらの本能は、私たちの行動や判断、消費行動に深い影響を与えています。
ご紹介した本能は、ビジネスや広告、コミュニケーション戦略の設計においても重要な役割を果たします。私たちの本能を理解し、それに合わせたアプローチを取ることで、人々の心に訴えるメッセージやサービスを提供することが可能です。
進化論マーケティングの視点から人間の本能を考えることで、より効果的なコミュニケーションやビジネス戦略を構築し、成功を収める手助けになることでしょう。皆さんも是非、これらの本能を意識して日々の選択や行動、ビジネス展開に活かしてみてください。
本書の原則は私の大好きな著書である「影響力の武器」と組み合わせて活用することができれば、必ずあなたのビジネス、いや日常生活においても素晴らしい日々を送ることができます。
著者について
鈴木祐
1976年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。無理なトレーニングや食事制限なく痩身、体質改善を目指す「パレオダイエット」にくわしい人。
10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねつつ、科学に関する最新の知見を紹介する自身のブログ「パレオな男」は月間250万PVを達成。
現在まで手がけた書籍は100冊超。自著としては、15万部を突破した書籍『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)をはじめ、『無(最高の状態)』『科学的な適職』(同)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)、『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』(かんき出版)ほかがある。
近年はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演、またオンライン上で個人カウンセリングやトレーニング・レッスンを行なっている。パレオな男 アラフィフ男がアンチエイジングについて考えるブログ 鈴木祐 2020-09-20 | パレオな男 (yuchrszk.blogspot.com)
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