鈴木祐 科学的な適職 最高の職業の選び方 要約

科学的な適職 要約記事 その他
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今回はあの「パレオな男」で有名な鈴木祐さんが書いたキャリア本である
「科学的な適職」について紹介いたします。

私たちが生きていく上では仕事をするということは相当な富豪でもない限り、切っても切り離せません。しかし、私たちは安易な職業選択を行い後悔するという機会が増えてきています。

この職業選択という大事な選択について再考している人や考え始めた人は本書を読み、実際にツールを使い行動をしていかなくてはいけません。

幸福度を上げてくれる適職とはどの様な要素があるのかを本書では学ぶことができます。

本書の結論は


私たちは仕事選びにおいてもっと徹底的に考える必要がある

科学的な適職 鈴木祐

職業選択という人生において大事なものを科学的根拠に基づき正解のない悩みに答えを出す方法を具体的に本書では解説されています。

この記事では正しい職業選択における5ステップのなかで個人的に大事だと感じたステップ1とステップ4を紹介いたします。

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職業選択における7つの大罪

私たちが正しい職業選択のためにこれまで行っていたことやよく見かけるアドバイスというのは実は間違いがたくさん含まれています。まず正しい職業選択を行うためにこれまでの選択方法が間違いであったと気づくことからスタートです。

本書ではこの間違いを「仕事選びにおける7つの大罪」として紹介されています。

好きを仕事にする

好きなことを仕事にすればいいというのは間違いであり好きなことを仕事にしたら幸せになれるわけではありません。

実は、自分の好きなことを仕事にしてもしなくても最終的な幸福度は変わらないということがわかっています。

なぜ幸福度がそこまで変わらないのかというと好きな仕事だからこそこだわりがある点や好きな仕事でもトラブルや面倒が起こり好きな気持ちを疑ってしまうという点が挙げられます。

好きであるという期待値が高いほど、現実の仕事へのギャップを感じてしまいやすくなり幸福度は下がってしまいます。

好きを仕事にして「こんなはずじゃなかった」と嘆く人は私もたくさん見てきています。
これには科学的根拠はもちろんですが、個人的にも大納得です。

あなたが「好き」よりも大事にしなくてはならないものは「情熱」にあります。
ただ、仕事において情熱がわいてくるにはある条件があります。

仕事に対して情熱が持てるというのは人生で注いできたリソースの量に応じて情熱が比例して湧いてくるということがわかっています。

好きなことだから情熱を持てるというわけではなく、人生のリソースという観点で情熱が湧いてくるのです。なので私たちが大切にしなくてはならないことは「時間をかけて人生のリソースを注げるか」という目線でまずは仕事を見つけなくてはいけません。

なので、やってみて楽しく続けられそうという気持ちは大事にしなくてはいけないかもしれません。
ただ、生涯雇用が保証されていたシニアサラリーマンを見るとあまりにも仕事にリソースを費やしてしまいなかなか現状を手放せないという現代日本の現状もあります、、

給料の多さで選ぶ

給料が多いか少ないか少ないかで職業選択を行うというのも間違いです。
なぜなら、給料と幸福度の高い仕事というのはほぼ関係がないからです。

本書にあるフロリダ大学のメタ分析ではあらゆる文化圏から「お金と仕事の幸福」について集めたデータからほとんど関連性がないことが明らかになっています。

給料が増えて自由に使えるお金が増えても私たちが手にできる幸せというのが増えるわけではないのです。お金で得られ得られる幸福よりも、ライフイベントで得られる幸福の方が幸福度が高いという研究データも多数上がっています。

具体的に考えると、どんなに給料が増えても一緒にお金を使ってくれる友人がいなくては絶対に楽しくないはずです。(少なくとも私はそうです)

お金で幸せは買えないというのは科学的データにもとづいた事実としても明らかになっています。

ただ、だからと言って私は給料を全く見ないで仕事を選ぶということはお勧めしません。
お金があって困ることはまずないからです。

この資本主義という社会においてお金というのはある意味では評価の基準となります。
お金を持っているということで自分の承認欲求が満たされ幸福を感じれる人がいるなら間違いなくお金に目を向けて生きていくべきです。
全てはあなたの価値基準と選択次第です。

業界や職種で選ぶ

伸びそうや個人的興味があるという基準で業界、職種を選択するというのも間違いです。

理由としては次の2つが挙げられます
①専門家であろうが伸びる有望な業界など予測することはできない
②人間は自分の個人的な興味の変化を予測できない

①専門家であろうが伸びる有望な業界など予測することはできない
こちらについてはペンシルバニア大学の研究で明らかになっています。

1989年から2003年かけて248人の専門家が3~5年後の経済、企業状況、政治がどのようになっているかを予想した結果、専門家の予想はほぼ50%の確率でしか当たらないということが明らかになりました。

つまり、どんなに専門家が将来は「これが伸びる!」というアドバイスもコイントスをするのと変わらないということになるのです。

②人間は自分の個人的な興味の変化を予測できない

こちらについては研究でも明らかになっているのですが、よく考えてみてもわかると思います。
私たちは未来の自分の変化について過小評価をしています。

恋愛を例にするとわかりやすいかもしれません。
最初はこの人とならうまくいくと思っていたが、時間の経過を経て個人的興味の変化や価値観の変化に伴い別れてしまったり、「こいつと付き合うことはないなー」なんて思っていた人が最愛の人に移り変わったりなど自分の予測なんて簡単に覆されてしまいます。

私たちは自分の変化でさえ、まったくもって予想が不可能なのです。

ここで大事なのは自分自身もこの世界も予測できないほど遷移し続けるものと認識して計画と行動をしていくべきだということです。

仕事の楽さで選ぶ

楽すぎる仕事というのも私たちの幸福度を下げてしまいます。
逆に適度なストレスは私たちの満足度を高めて幸福感を上げてくれます。

仕事の負荷が大きすぎて身動きすら取れないような場合は今すぐやめた方がいいですが、
楽すぎる仕事というのも私たちにとって害となる可能性があります。
私たちは適度なストレスを取り入れて満足度を上げていく必要があります。

適度なストレスの特徴としてストレスの期間が一時的で数分から数時間で終わるものが挙げられます
意識的なストレスを与えてくれる環境を探すのはなかなか難しいと思いますが、楽すぎる環境に自分からあえてストレスを適度に与えることは多くの人にとっては可能です。

適度なストレスがもたらすメリットは次の通りとなります。

  • 仕事の満足度を高めてくれる
  • 会社へのコミットメントを改善する
  • 離職率を低下させる
科学的な適職 鈴木祐

性格テストで選ぶ

就職サイトや転職サイトにあるような性格テストで抽出された職業が適職となる保証もありません。

性格などで診断されるテストが私たちの職業選択において信頼を置くのが難しい理由として下記3点があります
・捉え方により様々な解釈ができてしまう
・その時の心理状況や環境で診断が変わってしまう
・向いている仕事とパフォーマンスが発揮できるのは別問題である

診断結果が選択における一助とするのには良いかもしれませんが、あくまでも参考程度にするべきです。客観的な自分のデータを集めるという目的で様々なテストを受けたうえで自己分析を行うには診断テストを利用するには良いかもしれません。

直感で選ぶ

直感で自分に合った職業を選択するという行為も間違いです。
人生の行く末を決める職業選択において直感を信じるというのはあまりにもギャンブルすぎます。

ここまでの誤りをみて最後は直感で勝負!という気持ちもわかります。
しかし、直感が効果的に作用すためには一定の条件を満たさなくてはいけません。

直感が正しく働く条件として次の3つを満たさなくてはいけません。
・ルールが厳格に決まっている
・何度も練習するチャンスがある
・フィードバックがすぐに得られる

このように就職や転職においては直感が作用しにくいものとなっています。
(相当なジョブホッパーは条件を満たせるかもしれませんが)

適正にあった仕事を求める

インターンや面接や適性検査で自分に合った職業を選ぶことも誤りとなっています。

なぜなら、私たちの幸福を与えたりパフォーマンスを最大化する項目というのは非常に多く存在していて変則的です。それなのに短期のインターンシップ、複数回の面接、固定された項目が並べられた適性検査で単一的に適性を出して判断を行えることはありません。

また、各組織においても文化や必要なスキルが全く異なっているために統一された固定的な適性判断で職業を判断するのは難しく、予測が困難です。

まとめ

私たちが職業を選択するために言われてきていた価値基準にたくさんの誤りがあります。
ここまでたくさんの誤りがあるとすると、どのようにあなたのキャリアにおいて適切な意思決定を行っていけばよいのでしょうか。

次の章では、適切な意思決定の精度を上げていくために私が個人的に一番良いと考えているバイアスと距離を置く方法について紹介いたします。

本書では、それ以外にも様々な適切な意思決定を行う方法が紹介されているので確認してみてください。

歪みに気づく

あなたのキャリアにおいて適切な意思決定を行うためには「自分の中にあるバイアス」を認識して距離を置く必要があります。つまり、認知の歪みに気づいて適切な対策をとらなくてはいけません。

なぜキャリア選択においてバイアスと距離を置く必要があるのかというと、私たちの脳は生まれつき意思決定を行う能力に深刻なバグを抱えているからです。

この生まれつき備わってしまったバグがバイアスになり、私たちの認知に歪みを与えることで職業選択の精度を下げてしまいます。

バイアスには様々な種類があります。
・事実や記憶を歪める
・誤った思い込みを与える
・意識をされた方向にもっていく
・人間関係を乱す
などほかにもたくさんの種類があり、様々な方面からあなたを誤った道に誘い込みます。

これらのバイアスとうまく距離を置き適切な意思決定を行うことが職業選択においては必要になります。以下ではバイアスと距離を置く方法について、時間操作プロトコルと視点操作プロトコルの2つに分けて各2つずつ具体的対策を紹介いたします。

時間操作プロトコル

私たち人類というかホモサピエンスは先ほどの章でも見た通り、未来予測がとても苦手な生物です。
未来予測という機能が脆弱なおかげで、現状の問題に対して短絡的な解決法を採用したりきちんと精査を行わずに行動に飛び込んでしまいます。

これが原因でなんとなく独立、転職を行い「こんなはずじゃなかった」と後悔を引き起こしてしまいます。時間操作系プロトコルは人間の未来予測の欠点を補うために利用します。

本書では時間操作プロトコルのゴールを以下のように定義しています。

できるだけ将来をはっきりと思い描き、近視眼的な判断をリセットするのが最終ゴールです。

科学的な適職 鈴木祐

技法①10/10/10テスト 

まず目先の選択をバイアスから切り離していくために、その選択をしたら、10分、10か月、10年のスパンで切り分けてテスト行います。

このフレームワークを利用するために自分がこれから行う選択について下記3つの質問を行います。
・この選択をしたら10分後にはどのように感じるだろう
・この選択をしたら10か月後にはどのように感じるだろう
・この選択をしたら10年後にはどのように感じるだろう

短期、中期、長期のタイムラインで考えていくことで、現在の自分ではなく未来の自分として拡張を行い幅広い選択肢を判断を行えるようになります。

現在の自分軸で考えてしまうとどうしても考えや判断が凝り固まってしまい、視野狭窄が起こってしまいます。複数の時間軸で考えて未来の自己とのつながりを現在の自分に実感させることができます。このつながりがバイアスとの距離を確保し、適切な意思決定の一助になってくれます。

技法②プレモータム

これはバイアスの影響を限界まで減らすためにあえて自分が失敗した未来を想定する方法です。
どんなに思考力に優れた人でも意思決定の精度に歪みが生じます。そのために、失敗を前提にして意思決定の質を測ります。

敗北の想定

今から3年後の未来を想像して、あなたがした選択が「完全な失敗」であった状態をイメージします。
できれば、文字にして具体的なイメージがつきやすいようにします。

あなたにとって「こんな結果は最悪だ」と思う3年後を紙に書きだしましょう。

原因の探索

次に行うのは先ほどイメージした「完全な失敗」の原因となるのはどのように起こるのかを紙に書きだしていきます。

自分が普段しそうな失敗を考えて実際にどのような失敗を起こす可能性があるのかを思いつく限り書き出してみてください。

個人的なお勧めですが、過去にした大きな失敗や日々に頻発するエラーをベースに抽象化して未来の選択の失敗を考えるようにすると少し考えやすくなります。

過程の想起

失敗の原因を書き出し終えたら、そのプロセスを時系列で詳しくイメージしてください。あなたが行った選択が「完全な失敗」に終わるまでに先ほどの原因がどのような経緯で生み出されていくかを時間軸に区切って考えます。

ここでは、どれだけリアルに失敗のプロセスを想起できるかがポイントです。
失敗によって起きていく感情変化などをリアルに追体験できるように想起します。
リアルを追求することで自分の選択がどれだけのことを引き起こす可能性があるかを把握し、自身の選択がバイアスにより正当化されていた状態から切り離すことができます。

対策の考案

失敗を時系列で区切ることができれば、どのように各プロセスごとに失敗を防ぐ対策を考案します。
それぞれ起こるトラブルにおいてどのように対策をするのかを考えることで自分が行う選択についての問題点が浮かび上がるはずです。

ここで初めて、自分の選択がどのようなバイアスにかかっていたかを把握することができるようなります。その段階で自分が行う選択の質を押し測ることができるでしょう。

時間操作プロトコルまとめ

時間操作プロトコルにおいて重要な点は自分の時間軸をずらして思考することです。

現在の自分の考えでは脳のバグにより、意思決定プロセスが凝り固まったものになります。
それを防ぐために未来の自分を連れてきて想起させてあげることで意思決定の質と視野を確保してくれます。

バイアスから距離を置くために未来の自分を召喚しましょう!

視点操作プロトコル

時間操作プロトコルでは未来の自分という縦の軸を変えて考えましたが、視点操作プロトコルでは横の軸、つまり別の視点から考える方法です。

別の視点を取り入れることで自分視点でかかっていたバイアスを把握することができます。

技法③イリイスト転職ノート

イリイスト転職ノートでは主語を「僕」や「私」ではなく「彼」や「彼女」などの三人称に置き換え、自分のことを第三者の視点で書く日記法です。

イリイスト転職ノートを活用することで自分の意思決定を三人称で考えることがうまくなり、複数の視点からベストな選択を導き出せるようになります。

イリイスト転職ノートの記入方法は下記手順となります。
①一日の終わりに自分がキャリアにおける意思決定の内容を三人称で書く
②日記は最低でも15分かけ、2段落くらいの文章を書く

書く時のポイント
・どんなことを決めたのか
・どのような流れでその決定に至ったのか
・その決定を行うためにどのようなエビデンスを利用したのか
・その決定によりどんな結果を期待しているのか
・自分の決定にどのような感情を抱いたのか
これらを含めるようにしましょう。

イリイスト転職ノートのメリットは2つあります。
①意思決定の記憶が後から改ざんされない
②意思決定のパターンがハッキリする

①は人間は自分記憶をいいように改ざんしてしまい、これが自分の思い込みを強くするバイアスを強めてしまいます。

②は記録として日々記入することで自分の意思決定の傾向を掴むことで自分分析の一助になります。

技法④友人に頼る

視点を変える為に欠かせないのが友人の存在です。親愛なる友人はあなたのバイアスを解く存在になります。自己評価よりも他者評価の方が正確な事実を当てることができる研究が本書でも紹介されています。

実際に本書では自己評価について下記のように結論付けられています。

人は誰しも「自分のことは自分が一番わかっている」と思いたがりますが、実際には自己評価ほど当てにならないものもありません。

科学的な適職 鈴木祐

本書では3つのテクニックを駆使して友人に頼ることを推奨されています。

・360度フィードバック:上司部下やクライアントなど様々な方面から意見を集める
・クローズドクエスチョン:イエスかノーでこたえられる質問を投げる
・親友イメージング:あなたの脳内にいる友人に同じ境遇ならどのような助言をするか考える

非常にシンプルなテクニックですがこれだけで意思決定の質を上げることができます。
手軽にできることなので今すぐ実践できる方法としてお勧めです。

視点操作プロトコルまとめ

視点操作プロトコルはあなた自身では気づくことができないようなバイアスを把握できるようになります。

実は一番この世でだましやすい人間は自分自身なのです。

自己評価に対して過信しすぎないようにするためにも私たちは積極的な他者の視点を取り入れて今までにはないような幅広い考えを行っていきましょう。

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まとめ

  • 仕事選びはより徹底的に思考して行う必要がある
  • 現状で適切とされているフレームだけでの職業の意思決定は後悔につながる可能性がある
  • 人間は未来予測が超苦手な生命体
  • 職業選択においては様々なバイアスがあり、視点を変えてバイアスと距離をとる
  • 自分のことは自分が一番わかっているわけではない

本書を読んで私は自己を見つめなおすきっかけになりました。
自分の適職を見つけるというのはこんなにも大変な作業が必要なのかと目から鱗な内容ばかりです。

これだけのフレームワークやテストを活用しても必ず自分に合った最高な適職を見つけるというわけではないと思います。しかし、少しでも自分の意思決定の質を上げて目の前の選択肢を十分に検討することは良い人生を歩むためには必要なことです。是非、本書をさらに読み込んで素敵なキャリアを歩みましょう!

パレオな男こと鈴木祐先生いつもありがとうございます!
↓鈴木祐さんの時間管理術についてはこちら↓

著者について

鈴木祐

1976年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。無理なトレーニングや食事制限なく痩身、体質改善を目指す「パレオダイエット」にくわしい人。

10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねつつ、科学に関する最新の知見を紹介する自身のブログ「パレオな男」は月間250万PVを達成。

現在まで手がけた書籍は100冊超。自著としては、15万部を突破した書籍『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)をはじめ、『無(最高の状態)』『科学的な適職』(同)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)、『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』(かんき出版)ほかがある。

近年はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演、またオンライン上で個人カウンセリングやトレーニング・レッスンを行なっている。

パレオな男 アラフィフ男がアンチエイジングについて考えるブログ 鈴木祐 2020-09-20 | パレオな男 (yuchrszk.blogspot.com)

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