西口一希『顧客起点マーケティング』要約:たった1人を徹底に研究するN=1分析

顧客起点マーケティング マーケティング
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西口一希氏の著書『顧客起点マーケティング』は、顧客中心のアプローチを採用し、ビジネスの成功に不可欠なN=1分析の重要性を強調しています。この記事では、その結論がなぜ重要なのか、そして実際にどのように行うべきかについて探ります。

普段から目にするCMはどのような訴求がされているかなどを知ることができるのであなたの気づきを増やしてくれる楽しい1冊にもなっています。

データによって集めたターゲット層をどのように分析して打ち手を打つのかについてはかなりわかりやすく書かれていて世のマーケター必読の1冊となっています。是非、購入して読むことをおススメします

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本書の結論:「たった1人を徹底に研究するN=1分析をしよう」

本書の結論は、マーケティング戦略においてたった一人の顧客がどのように購買の心理に動くのかを徹底的に深堀りしていくことが重要にとなります。

なぜなら、徹底的にN=1を分析し心を動く心理を把握することで強い独自性と便益を持つ「アイデア」を顧客にもたらすことができるからです。

コーヒーで例えるとわかりやすいのですがN=1の場合、アイスコーヒーが欲しい顧客にはアイスコーヒーを出すことができます。しかし、N=多数の場合はアイスコーヒーもホットコーヒーも混ざったしまいますのでぬるいコーヒーが出来上がるという論理です。

N=1分析で顧客ですら見えていない深層心理を明らかにして自分にとって特別な体験をもたらしてくれるサービス、商品を提供できるようになるのです。

「顧客ピラミッド」で顧客層を分類しよう

この章では、N=1分析を実施するために、主要な顧客層(ロイヤル顧客、一般顧客、離反顧客、未認知層)ごとに分析方法を紹介します。各層の特徴や行動を理解し、それを基にした分析の手法について説明します。

「顧客ピラミッド」は、顧客層を5つの異なるセグメントに分け、特にロイヤル顧客を増やすことを目指して各顧客グループのデータを収集する戦略です。以下に、各顧客セグメントの詳細な定義を説明します。

ロイヤル顧客

  • 特徴: ロイヤル顧客は、高い購買頻度を持ち、高い顧客満足度を保っています。
  • 特徴的なカスタマージャーニー: 顧客に対して卓越した体験を提供し、強固な関係を築いています。

一般顧客

  • 特徴: 一般顧客は、購買頻度が平均的または低く、満足度も標準的です。
  • 消費体験: 一般的な消費体験を提供し、顧客に通常の価値を提供しています。

離反顧客

  • 特徴: 離反顧客は、過去に購入経験がありながら、現在は購買を行っていない状態です。
  • 原因: このセグメントの顧客は、不満足な経験や他の競合製品の魅力によって引き離されています。

認知未購買層

  • 特徴: このセグメントの顧客は、製品やサービスについては認知していますが、まだ購入を実行していません。
  • アプローチ: 購買への誘導が不足している可能性があり、彼らのニーズを満たす魅力的な提案が必要です。

未認知層

  • 特徴: 未認知層は、製品やサービスについて認知すらしていない顧客です。
  • 課題: このセグメントにアプローチするためには、まず認知度を高め、ターゲット層としてアピールできるポテンシャルを引き出す必要があります。

この章では、これらの異なる顧客セグメントに焦点を当て、それぞれに対する仮説を立て、N=1の分析を実践していきます。

顧客ピラミッド戦略は、ビジネスの成長と競争力の向上において強力なツールとなります。

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顧客層ごとのN=1分析から打ち手を考える

顧客層を明らかにすることができれば次は顧客層ごとにターゲットとするN=1を見つけましょう。

具体的なN=1の見つけ方をとしては行動データと心理データを集めて顧客層ごとのギャップを明らかにして明確なペルソナを策定します。

ここは例を用いた方がわかりやすいと思いますので私が好きなバーガーキングを例に考えていきましょう。

バーガーキングから考えるN=1分析

1. 顧客層の抽出

まず、バーガーキングの顧客層を以下のように分類します。

ロイヤル顧客:
ロイヤル顧客は高い購買頻度を持ち、高い顧客満足度を保っている顧客です。彼らは定期的にバーガーキングを利用し、ブランドに忠実です。

一般顧客:
一般顧客はバーガーキングを利用したことはあるものの、定期的な利用はしておらず、自ら足を運ぶことは稀です。

離反顧客:
離反顧客は以前バーガーキングを利用していましたが、現在は利用していない顧客です。彼らの再獲得が重要です。

認知未購買層:
認知未購買層はバーガーキングを知っていますが、まだ食べたことがない顧客層です。彼らを魅了し、初めての購買を促す必要があります。

未認知層:
未認知層はバーガーキングを知らない顧客です。ブランド認知を高め、彼らを新たな顧客にする機会があります。

2. 心理データと行動データの収集

バーガーキングの各顧客層ごとに心理データと行動データを収集します。

行動データ:

  • どの店舗を利用するか
  • 来店人数
  • 来店タイミング
  • インターネット情報の利用
  • クーポンの取得率

心理データ:

  • ブランド認知度
  • ブランド選好度
  • 広告認知経路

3. 顧客層ごとのN=1ペルソナの策定

集めた顧客からロイヤル顧客に対するペルソナとして、仕事終わりに一人でハンバーガーを楽しむ都内在住のメーカー勤務の28歳独身男性がペルソナとして策定することができました。

このロイヤル顧客のペルソナをN=1にするべくさらに深堀りしていきます。
なぜなら、このロイヤル顧客をどれだけが増やしていけるかが売上を持たらす秘訣だからです。

都内在住のメーカー勤務の28歳独身男性を取りこぼすことなくロイヤル顧客にするべくたった一人を追求していきます。できれば、実際に複数人をインタビューを行い明確な1人を絞りだすこととが望ましいですが、難しい場合、没入アプローチや共感マップを行いたった1人の「彼」を生み出しましょう。

私は、このロイヤル顧客からたった一人を生み出すだけでも十分であると考えています。
なぜなら、そのたった一人に刺さるものを訴求していけば十分に未認知からロイヤル顧客まで刺さるマーケティング活動を行えるからです。

彼がロイヤル顧客である要員や彼が頻繁に訪れない理由は何か、離反する可能性があるとすれば何が考えられるか、認知はしているが踏み出さない心理状況はどのようなものか、なぜ彼に認知が行き届かない可能性はどこにあるのか。

これを考えるだけでも十分に戦略として成り立つと考えているからです。

また、本書「顧客起点マーケティング」ではアプリのスマートニュースが対象となるため各顧客層ごとにどのような便益と独自性の訴求を行っていくか、競合と比較したうえでの戦略策定について詳しく書かれています。

都内在住のメーカー勤務の28歳独身男性のN=1として戸崎隆太さん(仮名)を抽出して彼にとって唯一特別な体験を与えてくれるバーガーキングを実現するためのプロダクトアイデアをコミュニケーションアイデアを生み出しましょう。

必ずたった一人に刺さるということを意識してください。

没入アプローチや共感マップは鈴木祐さんの「進化論マーケティングに」詳しく記載されているので是非確認してみてください。

N1についてはスープストック東京が一番素晴らしいマーケティング内容だと私は思いますので下記記事も参考にしてみてください。

女性に愛され、売上高42億円の「Soup Stock Tokyo」による究極のマーケティング戦略とは? – U-NOTE[ユーノート] – 仕事を楽しく、毎日をかっこ良く。 –

まとめ

  • 顧客ピラミッドを策定したうえでN1を抽出しよう
  • 行動データと心理データからどの層がロイヤル顧客化するかを考えよう
  • なぜたった一人の「彼」はロイヤルなのか、ロイヤルでない世界線はどのようなものがあるか仮説立てよう

最後の3つ目については私自身のアイデアとなります。もっと詳しく知りたい方は必ず読んでみてください!

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感想

今回は顧客起点マーケティングのN1については全体的な顧客セグメントごとの打ち手について本書では記載があります。

私はまずロイヤル顧客であるN1から考えて施策と打ち手を考えていくのがまずはスタートだと思いました。なぜなら、私は大きなセグメントの中でたくさんの顧客のニーズに応えたいというのが目的ではなくかなりニッチなセグメントで尖った戦略を行うことが目的としているからです。

本書はロート製薬の化粧水やニュースアプリのスマートニュースを例にとられていますが、この製品たちはあまりにも市場が大きくて取り込まなくてはいけない層が大きすぎます。

副業やスモールビジネスを行いたいという方はまずは本書にある顧客セグメント分解とN1の抽出をとことん読んでロイヤル顧客を生み出していくことが重要だと思います。

さらに、競合との比較でどの層から競合からマーケットをとるかという分析も非常に素晴らしい内容でしたので読んでみてほしいです。

内容はかなり濃く大手企業のマーケティング担当やtoC向けに広く顧客を取りたいビジネスをしたい人には必ず読まなくてはいけない1冊だとも感じました。

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著者について

西口一希

1990年大阪大学経済学部卒業後、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターとして、「パンパース」「パンテーン」「プリングルズ」「ヴィダルサスーン」などのブランド担当。2006年ロート製薬に入社。執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。2015年ロクシタンジャポン代表取締役、メルヴィータジャポンにて代表取締役社長。 アジア人初のグローバル エグゼクティブ コミッティメンバーを経て、ロクシタン外部取締役戦略顧問。スマートニュース執行役員マーケティング担当(日本・米国)を経て、M-Forceを創業。Strategy Partners代表取締役社長。グロースX 社外取締役

西口 一希:経歴・執筆記事:日経クロストレンド (nikkei.com)
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