コンテナ物語 要約 世界を変えたコンテナの存在

コンテナ物語 歴史
コンテナ物語
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今回はひろゆき氏がお勧めした本で有名な「コンテナ物語」を紹介いたします。

本書は国際物流の世界において「輸送用コンテナ」がどのように普及していったのかを詳細に描き出しています。

一人の革新者であるマルコム・マクリーンの波乱万丈の挑戦を通じて、「コンテナ」が国際物流をどのように変革していったかを慎重にたどる歴史書です。

この本はイノベーション(本書ではコンテナリゼーションと呼ばれています)の成立過程を解き明かす経済書です。

イノベーションが人々にどのような影響を起こしていくのか、そして集団でどのような作用が起こるのかについては勉強になる一冊です。

本書はひろゆきだけでなくビルゲイツも大きく推薦しています。

■ビル・ゲイツの推薦の言葉
「二〇世紀後半、あるイノベーションが誕生し、全世界でビジネスのやり方を変えた。ソフトウェア産業の話ではない。それが起きたのは、海運業だ。おそらく大方の人があまり考えたことのないようなそのイノベーションは、あの輸送用のコンテナである。コンテナは、この夏私が読んだ最高におもしろい本『コンテナ物語』の主役を務めている。コンテナが世界を変えていく物語はじつに魅力的で、それだけでもこの本を読む十分な理由になる。そのうえこの本は、それと気づかないうちに、事業経営やイノベーションの役割についての固定観念に活を入れてくれるのである。」

コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版 | マルク・レビンソン, 村井 章子 |本 | 通販 | Amazon

コンテナが変えた世界について

大幅な輸送コストの低減

コンテナの登場は輸送のコストダウンに大きく貢献しました。

搬出時の時間と人件費の削減

コンテナ導入以前は、船積みおよび荷降ろしには多くの時間と人件費がかかりました。大量の港湾労働者が荷役作業に従事し、これが結果として高いコストにつながりました。コンテナ化によって荷役作業が効率化され、これに伴って人件費が削減されました。

盗難や破損のリスク軽減

頑丈なコンテナは輸送中の荷物を保護し、盗難や破損のリスクを軽減しました。これにより、荷主と運送業者の間での信頼が築かれ、輸送プロセスにおいて損失が減少しました。低い損失率は運送業者にとってコストの低減をもたらしました。

高度経済成長期の日本の機器産業はこのコンテナ輸送の恩恵を大きく受けて発達したのではないかと私は考えています。

倉庫機能としてのコンテナ

コンテナ自体が倉庫としての機能を果たすことで、在庫を維持するリスクが軽減されました。これにより、倉庫施設や在庫管理にかかるコストが削減され、効率が向上しました。また、コンテナは停泊費用も低減させ、効率的な物流を可能にしました。

よく品川のふ頭付近に行くとコンテナがドーンと積まれているのはあの状態でも問題なく保管ができるからなんですね。

輸送プロセスの標準化

コンテナ化により、物流プロセスが標準化され、信頼性が向上しました。一貫性のある輸送手段として、荷主と運送業者の信頼関係が強化され、予測可能で信頼性の高いサービスが提供されるようになりました。

今までは人力や停泊の長さやストライキといった様々な要素が輸送の不確定要素として予測が難しい状態でしたがコンテナナリゼーションにより世界中でのコンテナ規格や装置が標準化されスムーズな輸送を実現し雑費を軽減しています。

港での職業の消滅

沖仲士とは

本書前半ではは船からの荷揚げ荷下ろしの作業と、それに従事していた沖仲士と呼ばれる港湾労働者の状況について述べています。

沖仲士とは港湾で船舶と貨物を取り扱う肉体労働者の職業でした。

沖仲士の主な仕事は、船舶から貨物を降ろし、または船舶に貨物を積み込むことでした。

多分ですが昔のアメリカのアニメにあるようなポパイやディズニーにも登場していたような気がします。

その当時の沖仲士や船乗りは大衆にとってもロマンとして広く認知されていたのかもしれません。

船からの荷揚げ荷下ろし作業がかつては多くの作業員を必要とし、その中でも特に沖仲士が高い給与を得る花形の職種でした。

この作業は体力を要する仕事であり、沖仲士は荒々しいが力強い作業員たちが従事していると描写されています。ここでのポイントは、かつては需要があり、高い給与水準が維持されていたという背景です。

コンテナの台頭

しかし、コンテナの登場により状況が一変したことを指摘しています。

コンテナの導入により、貨物の積み降ろし作業がクレーンによって迅速に行われ、人の介在が不要になったと述べられています。

この変化により、かつては需要があった沖仲士の仕事は急速に姿を消してしまったとのことです。

マクリーンがコンテナを導入し始めた時期には、一部の港では労働者が仕事ができなくなり、それに対する反発からボイコットや荷物の下ろしを拒否する事態が発生したとされています。

この反発は、労働者たちが新しい技術によって雇用機会を奪われ、経済的に苦しむことを危惧した結果と言えます。

大量の港湾労働者が失業することは、当時の社会において大きな社会的影響をもたらした可能性があります。

このような変化は労働者の権利や雇用条件に対する意識を高め、労働組合や政府機関との対立を生みイノベーションを遅らせた可能性も示唆されています。

個人的には港湾局や行政とのコンテナ化における闘争のやり取りはとても面白い話でした。

結果的に現在では人が介在する余地はなくなり沖仲士と呼ばれる港湾労働者はほぼ消滅したのです。

グローバリゼーションによる競争激化

コンテナの登場により、製造業者は輸送費が原価に占める割合が大幅に減り、これが大きなメリットとなりました。

以前は、世界中に商品を届ける場合、遠くの地域まで輸送費だけで原価を上回ることが一般的でした。

しかし、コンテナの導入により、運送コストを抑えるために商品を購入する需要の多い都市部に近い場所に工場を構える製造業者が増え、多くの企業が郊外に工場を移転させました。

この変化により、どこでも低コストで商品を届けることが可能になり、グローバルな競争社会が実現しました。

これによって、以前はローカルに限定されていた企業やブランドも、世界の競合メーカーと競争することが求められ、競争激化により一部の企業は淘汰されることとなりました。

イノベーションについて考える

本書はコンテナを焦点にどのようにして輸送の世界を変えたのかが書かれています。

大きなイノベーションが起こる前はあらゆる組織で既存の権力を守る内紛が起きます。

ここにはイノベーションにより淘汰されるという人が存在するために生存バイアスによるものと考えられます。

実際には全体像や将来像を見誤る専門家や当事者がたくさん登場するといったお粗末で悲惨な状態が描かれています。

イノベーションというのはたった一つの発明や一人の奮闘だけで起こるものではないと本書では学べます。

世の中全体がとある事象やモノに対して最適化されていくことでイノベーションは実現されていくものではないかと考えられます。

新たなイノベーションによりこれまでの正しささえも塗り替えられます。

そこには多くの混乱や利害関係があり専門家さえも予測できない未来が待っているのです。

イノベーションはすべてを巻き込み破壊して再構成するというある意味では既存の構造では必ず収まりきらない恐怖というものを感じました。

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著者について

マルク・レビンソン(Marc Levinson)
ニューヨーク在住のエコノミスト。The Economistの金融・経済学担当のエディター、Newsweekのライター、外交問題評議会シニア・フェローなどを務めた。著書に『例外時代』(みすず書房)など。

コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版 マルク・レビンソン(Marc Levinson)

また、本書の著者は様々な著書や文献を残しています。

『The Great A&P and the Struggle for Small Business in America』では、連鎖店を規制して個々の小売業者を守るための政府の歴史に迫り2016年の著書『An Extraordinary Time』では、戦後の好況の突然の終わりが多くの国の有権者を、政府を縮小することを約束する指導者たちに導いた様子を描き出しています。

本書もマルク・レビンソンの著書となります。この本は物流の観点から世界を捉えた1冊です。

マルク・レビンソン(Marc Levinson)公式

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