今回ご紹介するのはウェブマーケターであるリコピンさんの事業開始のノウハウ本である「女子大生、オナホを売る。」です。インパクトのあるタイトルですが、起業を考えている人、マーケティングを学びたい人、新規事業立ち上げにかかわる人は読むべき1冊です。
ページ数もそこまでなく読みやすすい1冊なのでまだ読書をしていないビジネスマンにもお勧めできます。何より内容がとても面白いです。
また、顧客インサイト発掘というビジネスでは必要不可欠な要素にも書かれている読んで損はありません。
本記事では商品を売り出す準備段階である
・事業領域の選定
・市場調査
・コンセプト設計
の3点に絞り要約いたします。
事業領域の選定方法
事業領域の選定方法としては下記の大きく4つに分かれます
ざっくり事業領域の選定方法の4選
- クリエイティブで勝負が決まる領域
- 購買者が失敗しても良い領域
- 人間の欲求が深い領域
- まだ解決されていない悩みが存在する領域
クリエイティブで勝負が決まる領域
1つ目のクリエイティブで勝負が決まる領域はつまり、該当する事業領域の製品が「なんとなくかっこいい」「デザインがおしゃれ」といったようなクリエイティブさが購買要因になるということです。
ここを選定する理由として消費者が「なんとなくいいな」で購買する市場で明確な買う理由を持つコンセプト商品を提供することで商品の優位性を上げて勝率を上げることができるからです。
クリエイティブな領域にコンセプトで参入した例として例としてスマホケースの「iFace」が挙げられます。iFaceが出る以前のスマホケースはデザインをベースとして選ばれていましたが、iFaceは握りやすく衝撃に強い」という機能性のコンセプトを押し出して大繁盛しました。
クリエイティブに対してコンセプトを訴求して勝つことができる市場は大きな事業選定要因の一つになります。
ここは私の感想ですが、あまりにも洗練されたクリエイティブにはコンセプトが勝てないということもあると思います。例えば、iPhoneはどちらかというとデザインやシンプルさといったクリエイティブで市場を独占しています。どちらかというと機能面を訴求している競合他社は現状の日本市場ではかなり苦戦しています。クリエイティブすらコンセプトであるという競合がいる場合は注意しなくてはいけません。
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顧客が失敗しても良い領域
これはつまり顧客が購買判断の失敗を許容できるような領域です。お客さんが「別に失敗しても大丈夫だし新しい商品で冒険してみようかな」と思える市場にはそれだけの新規顧客を獲得できるチャンスがあります。
ここでコンセプト通りの訴求と顧客体験を新商品を通じて実現できればリピートや顧客拡大につながり事業の勝率はグッと上がります。
顧客心理として「失敗しても良い」レベルは異なりますが、失敗しても良い商品としては
①買い替えスピード、購買サイクルが短い
②値段が高くない
の大きく二つに分けられます。
私の想定ではこれ以外にも参入際に意識しなくてはいけないポイントは
・定番ブランドが存在しない
・好景気な時に売り出す
ということも視野に入れておくべきです。
「この市場といえばコレ!」といったような定番ブランドがあると新商品への冒険心は薄れます。
さらに、消費者は不景気になればなるほど失敗したくないという心理が働くので定番ブランドに定着する傾向があります。
これらも失敗しても良いということを考えるときには参考にしなくてはいけません。
まだ解決されていない悩みが存在する領域
これは市場に存在している顧客セグメントの中にまだ悩みが解決されていない顧客層が存在している領域です。
1つの事業領域においても既存商品群でニーズが満たされているセグメントとまだ既存商品群ではニーズが満たされていないセグメントが存在していれば、参入する価値は大きくあります。
ここで意識しなくてはいけないことは既存製品と同じ土俵で戦わないことです。
同じ土俵というのはこれまでの既存商品群で争われていた特徴の指標のことです。
例えば、洗剤でいうなら洗浄力、液晶でいうなら画素数という特徴指標になります。
この特徴指標で競争に出ると既存の大手の技術力での殴り合いとなり新規参入者には勝ち目がなくなります。
最終的なオチとして顧客が求めていない特徴指標まで達し市場から顧客が離れてしまうということまで起こります。
あくまで参入する際には、既存商品で争われていた商品特徴ではなく既存製品では盲点だったかゆいところに手が届くというのを需要として狙います。
あるセグメントに対して「あったらいいな」にダイレクトに刺さるものを視野に入れるべきです。
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市場の調査の方法
事業領域が決まった次は対象の事業領域の調査を行い顧客インサイトの発掘を行う必要があります。
顧客インサイトの発掘のためにあらかじめ選定事業における顧客と商品の調査を行い、仮説立てていきます。
- 事前調査
- 顧客が抱えている悩みは何かを仮説立てる
- 市場と既存商品について調査する
- 顧客セグメントの分解する
顧客の悩みを仮説立てする
彼らがまだ現状では解決できない悩みがある理由を探すために以下の項目に沿って書き起こしていきます。
1.彼らにとっての理想の状態は何か、本当はどうなりたいのか
2.その理想状態を実現するための彼らの表面的な欲求は何か
3. 2に対して彼らが現状で思いつく解決策は何か
4.3をもってしても解決できないのはなぜか
これをまとめていきます。
ここで注意したいのは言語化する際に彼らの言葉でまとめることです。なぜなら、ターゲット顧客を用いることで顧客に響きやすくなるし、理解が進むからです。
既存の商品のリサーチ
消費者の世界観と市場を理解するために既存の製品の理解を進めます。そのために下記の調査を行います。
◆既存商品のリサーチ
・最も売れているのは、その次は
・売れていないものは
・一時期にヒットしたものは
・低価格帯、高価格帯のものは
・市場全体の商品特徴や訴求内容
顧客セグメントを分解する
ある程度の市場の理解が進めば今度は仮説立ててセグメントを分けていきます。
ターゲット顧客になりうる層をセグメントしてどのような人をインタビューに連れてくるかを決定します。セグメントの切り口は様々ありますが、最初のオススメとしては
・買ったことがある
・買ったことがない
・過去は買っていたが、現在は買っていない
という切り口がお勧めです。
セグメント分けした後に調査しておきたいことが
セグメントにいる顧客が普段は何をしていて何から情報を得ているのか、彼らがあこがれる状況と恐れている状況は何かも調査することをお勧めします。
これを行う目的として仮説検証をより確実にしていくためにペルソナを設計しておくことが重要だからです。
コンセプト設計の方法
ターゲティングした顧客の悩みを解決するべく良いコンセプトを設計しなくてはいけません。
このコンセプトが顧客がまさに欲していた商品となれば大勝利です。
良いコンセプトは本書では次のように明かされています。
まず性質要件としては、
女子大生、オナホを買う。
1.ターゲット顧客がまだ解決していない悩みを解決できるもの
2.同じコンセプトで売り出している商品がまだ市場に存在してないこと
でしょう。
そして表現要件としては、
1.その商品が持つ最大の特徴とそれによるユーザーベネフィットがわかること
2.1文で表現できること(端的であること)
ここでは2の表現要件の身に絞り解説いたします。
売れる商品名の作り方
商品名の作り方は商品名ににコンセプトを入れるようにすることです。
商品名にコンセプトを入れることで顧客に見逃されず目に留められるようにします。
コンセプトは他にはない最大の強みがあるはずなのでこれを一番アピールできるようにしなくてはいけません。例えば「いきなりステーキ」「熱さまシート」などのように一目見てわかる商品名を設計します。
また、既存の商品に埋もれないためにも既存とは違うパターンでインパクトを与える必要もあります。
顧客を引き寄せるキャッチコピーの作り方
顧客を引き寄せるキャッチコピーの作り方ははワクワクするゴールを混ぜることです。
そのために顧客の理想のゴールとなるものを定義します。そのゴールを商品を使うことでどのような状態になるかを伝えてあげるのです。
ここでは飛躍的になりすぎずかつ、理想のあるべき姿をよい塩梅で訴求する必要があります。
端的にキャッチーに伝えることができれば目に留まることができます。そうなれば、商品の詳細なコンセプトを説明する機会が訪れます。
商品の詳細を知りたいと思わせるキャッチコピーを心掛けることが大事です。
まずは、端的に理想の状態をキャッチコピーにすることで目標は14文字以内を目標にしましょう。
タイトルでは埋もれないように注目させる→キャッチコピーで関心を高める この動線を確保することができれば、購買に大きく近づけることができることを念頭に置いておきたいですね。
感想
どのように事業を作っていったのかを知ることができる素晴らしい1冊でした。
商品を作り売り出していく過程は新しいものを世に広めていきたいと考える人には必ず学びがあると思います。
ただ、私が本書をオススメしたい一番の理由は著者であるリコピンさんがこのような画期的な発想を行動に変えるクリエイティブさと行動力です。その最強さ本書では垣間見ることができます。
マグロ漁船に乗り込んだり大学構内でシャケを焼いてコメを炊くなど驚きのエピソードばかりでした。
私はこの行動力を学ばなくてはいけないなと一番感じました。
本書の企画に携わっている事業家botさんですが、私はTwitterやニュースサイトに記事で確認するとても勉強にさせていただいている経営者さんなので記事を確認してみてください
事業家bot | 著者ページ | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
著者について
神山 理子(かみやま・りこ)
愛称はリコピン。1997年生まれ。明治大学商学部卒。20歳の時にインターン先で音楽メディアの運営責任者となり、業界No.1までグロースして売却。その後シンガポールにて新規事業を立ち上げ、同事業の法人化を経て、オナホD2Cの会社を創業。自ら開発したオナホをAmazonランキング4位にまで育てるも過労のため退任。休暇3日目に新しい事業アイデアが閃き、休みもそこそこに自身2社目となる(株)ひだねを立ち上げる。創業1年で同社を売却し、次の事業に向けて準備中。消費者のインサイトを掘って、コンセプトをつくることが得意。たまにマグロ漁船員。1児の母でもある。
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武田所長の「スモールビジネスの教科書」はさらにどのようにしてスモールビジネスを生み出していくかを分かりやすく解説してくれます。
西口一希さんの「顧客起点マーケティング」もかなりオススメです!
この本はN=1の重要さと詳細について書かれているので本書を読んでさらに理解を深めていくことができます。